XZ-10 |
従来は明るいレンズを搭載しているのは1/1.7型で、1/2.3型の撮像素子タイプにはあまり明るいレンズが搭載されてこなかったが、ワイド側のみならずテレ側まで明るいレンズを搭載したのが特徴。
Coolpix P310なども明るいが、それはワイド側だけでテレ側になると4倍ズームだがF4.9と暗くなってしまった。だがXZ-10は5倍ズームでもF1.8-2.7と、テレ側でもまずまずの明るさを保っている。ぶれやすくなるテレ側だからこそ明るさが欲しいので、この差はとても大きいものだ。オリンパスでもSH-50はF3.0-6.9.F1.8とF3.0では1.5段くらい違うので、変な言い方になるが、XZ-10はSH-50よりも、暗い場所での広角側においては、1.5段高画質に撮れる、と言うこともいえよう。SH-50がISO3200に増感しなくてはならない場面を、ISO1200程度で同じように撮影できるという、一応の計算は成り立つ。撮像素子の小さいカメラほど明るいレンズが必用、かねてから主張しているとおりだ。
が、実はXZ-10、違うところで引っかかってしまった。XZ-10を伝えたデジカメwatchのニュース記事。
http://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130130_585535.html
このなかで、記者は
「比較的明るいズームレンズやコントロールリングといった「STYLUS XZ-2」(2012年10月発売)の特徴を引き継ぐ」
「開放F1.8-2.7と比較的明るい。」
と、比較的明るい、と言う表現を二度も使っている。比較的明るいとは何か。もっとも明るい、ではないが、普通でもなく、どちらかと言えば明るい部類だ、まあ上の下から中の上か、あたりを指して「比較的明るい」と言うべきものだ。
では、もっと明るいコンパクトがあるのだろうか。1/2.3型では無いと思う。先のCoolpix P310などはF1.8-4.9。ワイド側では同等だがテレ側では暗い。これとの比較なら「もっとも明るい」と言うのが正しく、「比較的明るい」は不適切だろう。これを1/1.7型まで広げてみると、LUMIX LX7がF1.4-2.3と言うレンズがある。これがもっとも明るい。一眼レフ用を含めて、民生用としては世界でもっとも明るいズームレンズだろう。ベスト1だ。
しかしそれをのぞくと、XZ-10のF1.8-2.7より明るいというレンズを乗せたカメラは見あたらない。
上位のXZ-2はF1.8-2.5とわずかに明るい。ただズームは4倍止まりなので、5倍ズームのXZ-10は互角、と言う言い方は十分出来るはずだ。PowershotG15はF1.8-2.8。ズーム比も同じ5倍だから、XZ-10は勝るとも劣っているわけではない。カシオにはあまり明るいレンズの機種はないし、富士もX20のF2.0止まり。
つまりXZ-10はLX7についでNo.2に明るいレンズであり、紹介文としては1/2.3型の撮像素子の中ではもっとも明るいレンズを搭載しており、1/1.7型の高級コンパクトと比較しても遜色のない明るいレンズを搭載している、とする方が適切であり、「比較的明るい」と言う表現にはなじまないように思えるのだ。
さて、じゃあ何だと言うことだ。
一つは、デジカメwatchの記者が、特に深い考えもなく「F1.8だから比較的明るいでしょ」と言う気持ちで記事を書いてしまったというケース。まあこれなんだろうな、残念だけれど。まあほとんどこれなんでしょ。とすれば何のおもしろみもない。ただ単に記事の言葉の端を引っ張ってみたと言うだけのことになる。
だがもうひとつ、ひょっとしてと思うのは、これから各社が明るいレンズを乗せたコンパクトをいろいろと用意していて、そのことが頭にあったので「比較的明るい」と書いてしまったのではないかという、希望的観測。
可能性は少ないとは思うのだが、そうであってくれればとてもうれしい。夏に向けて発表されるであろう新製品に、ちょっとだけ、期待を持ってみてみようかなという気持ちにさせられる。
だめだろうとは思うものの、少しだけ、期待はかけてみようかな。