ソニーの勘違い |
こちらは新型のAPS-C一眼レフ(?)、トランスルーセントミラーを持つα77と65。そしてNEXシリーズの上位機、NEX-7です。
有効2,430万画素の“Exmor” APS HD CMOSセンサーですごい、と思われた方が多そうですが、私は勘違いだろうと見ています。ソニーが撮像素子メーカーであることがむしろ弱点となり、撮像素子サイドから要求されたものに対してカメラを作ってしまったのだと。
今時、2,430万画素なんて、必要ですか? 誰が求めてどう使うんでしょう。撮像素子側からは「もっと画素数増やせるぞ、もっと読み出し早くできるぞ」みたいな話があって、カメラサイドは押し切られてしまったのでしょう。確かに画素数が必要なごく一部のユーザーも存在しますが、大部分のユーザーにとっては1千万画素有ればおつりが来ます。カメラ店の用紙売り場に行ってみてください。そこに並んでいるのは、ワゴンに山積みされたLサイズ用紙の山です。それが一番売れるから、そういう扱いをされているのです。かりにA4に印刷するとしても、500万画素有れば余裕です。プリントニーズの99%ちかくは、A4以下と思われますから、まず一千万画素で足りない人、どうしても必要とする人は、例外の範囲です。もちろんいますよ。いますけれど、1億3千万人の中で何人いるかと言ったら、せいぜい130万人程度。1%程度でしょう。
画素数を増やすことは悪いことか? 悪いことです、限度を超えれば。画素数を増やせば、感度は下がり、ラチチュードも狭くなる。解像力は上がっても画質は悪くなる。この相関関係は、どこまで行っても必ず成り立ちます。技術が進歩して同等の画質を維持したとしても、なら画素数を減らせばもっと高感度でもっと高画質が実現できたはずで、どこまで行っても同じです。必要画素数(500万から1000万画素程度)を超えた画素数の増加は、必要悪ではなくて、悪なのです。画素数の増加が、技術の進歩を食いつぶしているのです。
第二の大きな錯覚は、連写速度を上げたこと。それ自体は悪くないのですが、そこに求められるのは、EVFではなくて光学ファインダーです。EVFではどうしても追従に遅れが出ます。リアルな画像よりわずかに遅れます。この遅れを解消することは不可能です。なぜなら、光学ファインダーは光の速度で伝わってくるからです。EVFにすれば、どうしても画像処理や伝送に時間がかかります。この時間をどれほど短くしても、光の速度を超えられない限りは、追いつくことはあり得ません。α77も光学ファインダーにしていたら値打ちはあったのですが、EVFではその連写性能は発揮できません。もちろん子供の運動会くらいならEVFでもいけるのですが、それだったら秒12コマもなくても、α65の10コマでも余裕でしょう。それ以前にα55でもα33でも良いじゃないかと。
もう一つ、高速連写で本格的なスポーツを撮影する場合には、秒60コマのEVFのレートは不足です。一般的に撮影しているときは不足を感じないと思いますが、激しく動く被写体を追うと、ぎくしゃくしてしまいます。それでも自動車や陸上競技など動きの先が読める場合はよいですが、サッカーのように選手がフェイントを掛けながら前後左右どちらに動くかわからないような場合には、60コマではまるで足りません。
高速連写はよいことですし、EVFにも良いところがたくさんありますが、高速連写が要求されるような撮影には、EVFは不向きなのです。
NEXは、同じく2,430万画素のセンサーとEVFを積んで上位機種が出てきました。ここに三つ目の錯覚があります。この手のミラーレスはスナップ用途が多いですしこの機種にはEVFを積んでも良いのですが、売れ筋は小型軽量低価格で、高級志向と言っても見かけが大切な、ものとしての価値観に対する高級志向であり、今現在のミラーレスに求められているのは、高性能(特に画素数)に対する高級志向ではないと言うことです。
あえていうなら、4つめの錯覚はNEX用の位相差AF対応Aマウントアダプター でしょう。これ自体は悪くないですし、画期的ですけれども、将来的にメインになるものではないのです。AFの過渡期に、MFのボディでも使えるレンズ単体でAFが出来る交換レンズなどが出てきましたが、そういったたぐいのもの。一時はおもしろいですし悪くありませんけれど、本質はNEX専用レンズであり、そちらの開発が最優先されるべきものでした。Eマウントレンズも出てきましたけれど、どうかな。Eマウントと現在のNEXにふさわしいレンズなのかどうかは、? と思います。
私は、大錯覚のソニー新製品群だと見ています。
ちなみに、Pentax K-5、Canon 7D、OLMPUS E-5とα55を比較したとき、高感度画質がもっとも悪いのがα55だと見ています。E-5は6,400までしか設定がありませんが、そこまでの画質は他社に劣りません。12,800の設定がないだけで、画質そのものは互角でしょう。ただ、ソニーは、一段見劣りするなと思います。
その中で、画素数を上げてしまったのはとても残念です。他社よりも高感度画質が良ければ別ですが、一番見劣りすると思うメーカーが画素数を上げてしまったことには、疑問符をつけざるを得ないのです。

