大型撮像素子とミラーレスとレンズ交換式と |
まあとりあえず一区切りかなと思いますので、ご興味のある方はもう一日おつきあいください。
発表は少しさかのぼりますが、こちらも話題を集めたPentax Qが発売になります。1/2.33型と言えばまるっきりコンデジのサイズ。ミラーレス一眼という呼び方も、ここまで来ると何だかなぁと思えてしまいますが、サイズに制限つけるのも根拠がありませんから、まあ、ミラーレス一眼なんでしょう。
こうしてみると、レンズ交換式は1/2.33に始まり、噂段階ですが1型、少し大きい4/3、一眼レフではポピュラーなAPS-C。35mm版、その上はライカのSやPentaxの645、さらにデジタルバックなどとなってきます。どうもカメラメーカーの皆さんはレンズ交換式を出したいように思えます。なぜレンズ交換式なのか、私は錯覚だと、過去の幻影だと思っています。レンズマウントの壁によってユーザーを囲い込み、利益を出してきた他メーカーを見て、自分たちもそうしたい、ユーザーを囲い込んで甘い汁を吸いたいという思いが、今も続いているのではないかと思うわけです。
しかしながら時代は撮像素子です。フイルムの時は、フイルムのサイズが決まることで様々な交換レンズが登場しました。交換レンズがそろうことで、他の規格のフイルムが勢力を広げることが出来なくなりました。双方が相まって、35mm版というスタンダードができあがり、その牙城を崩すものは出てこなかったわけです。
ところが、デジタルでは、レンズ交換式にしてしまうことで撮像素子のサイズが決まってしまいます。撮像素子のサイズに縛られてしまうことは、大きなデメリットになります。まだまだ進歩は継続しており、小型の分野では高密度で高画質になり、さらには大型の撮像素子も低価格で作れるようになり、一つのサイズで決めてしまうことは、撮像素子の進歩に対応しにくくなってしまいます。フイルムの時代とは違い、レンズ交換式には大きなデメリットも伴うようになってきているわけです。
そういう中で、私はレンズ交換式は一定の撮像素子サイズの範囲に限定されるものだろうと思っています。まず1/2.33のような小さい撮像素子の場合は、レンズを交換せずとも高倍率ズームでまかなえてしまいます。30倍などというレンズも出てきましたし、システムでそろえる必要性がありません。明るいレンズがほしいなど高倍率ズーム以外のニーズもあると思いますが、そもそもが小型軽量で比較的低価格ですから、交換レンズ感覚で数台購入しても、さほど苦になるものではないでしょう。このような小さい撮像素子では、レンズ交換式は必要ないだろうと見ています。
ただPentax Qは、必要性よりは高付加価値による収益の確保が主題なのかなとも思いますし、そういう戦略はあるでしょう。ただそれには、ギミックが中途半端かなとも思えますね。ユーザーから見ると、実用性ではなく、趣味のコレクションとしての存在価値だろうと思っています。ただしデジタルですから、コレクションしても残存価値はわずかでしょう。
一方で、35mm版より大きい撮像素子では、大型化、低コスト化が進行中です。その進歩のメリットを享受するためには、3倍ズーム程度のレンズ固定式として製品化する方が望ましいだろうと見ています。来年になればもう一回り大きい撮像素子が使えるようになるかもしれません。そのときレンズ交換式にしていたら、みすみすそのチャンスを逃してしまうことになります。だいたい、ハッセルやらブロニカを持っている人は大勢いましたが、システムをそろえて持ち歩いている人などほとんど見たことがありません。80mmだけつけてきていたり、広角や中望遠を1~2本持ってきている程度。超広角から超望遠まで、持っている人はいたと思いますが、持ち歩いている人はきわめて少なかった。重すぎるしでかすぎでした。現代の光学技術を持って標準ズームを作れば、レンズ固定式でもほとんど困ることはないでしょう。デジタルはレンズ交換式にしたところで、どうせ数年でボディを買い換えてゆくのですから、その都度違う撮像素子がついていても、かまわない、と言うよりむしろおもしろいのではないでしょうか。
あれ? 35mmはみんなシステムでそろえていたし、レンズ交換式で良いんじゃないの?
まあぎりぎりのところだと思いますが、まずフイルムの時代に比べてレンズが大型化しています。はっきり言ってフイルムの時の解像力なら小さなレンズで済むのですが、ピクセル等倍などと言う愚かな鑑賞方法をとる人たちによって、必要以上の高解像力が求められ、レンズが大型化しています。さらに、日本は高齢化社会が進行しています。経済の低迷によって若い人たちには余剰資金が少なくなってきています。またAPS-C以下の機材でも十分すぎるほどの性能が発揮されています。そのように考えると、より軽量で低価格なものが求められる社会には、逆行した進化を遂げているのが35mm版デジタルであると考えていますので、私は35mmサイズレンズ固定式を支持したいと思います。でもまあ、作られていくでしょうね、交換式も。もしレンズ固定式にすれば、35mmでなくも、一回り大きい撮像素子でも躊躇無く採用できます。画素数を増やしたいメーカーの皆さんには、好都合なのではないでしょうか。
ということで、その中間にある4/3型からAPS-C前後のサイズが、レンズ交換式として、システムでそろえる場合に、適当なのではないかと見ています。したがって、Qは、ぺけ。
と言う結論でした。(笑)
追補
Panasonicからパワーズームの交換レンズが発表されましたが、私的には当分様子見です。三脚に固定して動画撮影をする場合には、パワーズームも良いかもしれませんが、手持ちで静止画を撮影する場合には、邪魔くさいだけでしょう。過去にパワーズームの製品はたくさんありましたが、すべて失敗しています。Panasonicは動画をメインに考えているのかもしれませんし、いずれそうなってゆくかもしれませんが、手持ちの静止画撮影には的外れだろうと思います。まあ使ってみたら良かったとこともないとは言い切れませんけれども、当面は様子見です。