DSC RX1 |
35mmサイズの撮像素子を搭載したレンズ固定式デジタルカメラ、RX1である。こういったコンセプトの機種は初めてかな? たぶん初めてでしょう。
個人的には、このようなコンセプトは正しいと思っている。相当以前からずっと思っていたことなのだが、デジタルカメラは小型化の方向に進む。少子高齢化社会。世界的な不況。中低開発国にあっては少子高齢化ではないかもしれないが、爆発的な好景気ででかいカメラが売れる時代は、世界的に終わりだと思っているのだ。その中で売れるのは、必要十分な高画質を維持しつつ、できる限りの小型軽量化が進み、低価格な製品である。将来的に液体レンズとか気体レンズとか、現在存在しないすごい技術レンズが登場すれば別だが、ガラス、あるいはガラス系の部材を使う今のレンズのあり方で言えば、大きい撮像素子には大きいレンズが必要になり、それはイコール高価格に結びつく。現在の技術ではこの図式は必然のため、大きい撮像素子はレンズを含めれば必ず高価格なシステムになるのである。
かつてフイルムの時代、645であったり、ハッセルであったりを持ち歩く人にも良く出あったものだけれど、超望遠から魚眼までそろえて持ち歩いている人にはまずお目にかからない。ほとんどの人が標準レンズ1本であり、あるいは比較的小さな広角や中望遠の単焦点を持ち歩くくらいであった。大きい撮像素子のニーズはあると思うのだけれど、だからレンズ交換式でフルセットを必要とする人は、相当の例外だと思う。基本的には標準ズームくらいがついていれば良く、レンズは固定式だけれど、その代わり大型撮像素子の割には小型で低価格を実現しているカメラ、そういうカメラは、受け入れられるのではないかと思うのだ。
従ってRX1のように、レンズ固定式35mmサイズ撮像素子搭載機種は、私はコンセプトとしてはよいと思っている。ただし、問題はレンズと価格である。
なんで35mmF2なのか。わたしなら28mmF2.8をつけた。もっと言うなら24-70mmをつけた。
35mmサイズの撮像素子であるから、大きくぼけることをアピールしたい。そのためには、28mmより35mm。F2.8よりF2.0。という、作る側の論理で選ばれたのが、35mmF2であるというのが、私の見方である。撮る立場から言うと、35mmは対象物がはっきりしていれば問題なく使える。私の場合だと猫を撮ろうとか、花を撮ろうとか、被写体がはっきりしているときには良いのだけれど、散歩に持ち歩いていろいろなものを撮ろうと思うと、35mmというのは使いにくい。だんぜん28mmである。撮り手の立場を考えて製品を作るなら、28mmF2.8が搭載されたはずだと思うのだが、作る側の論理か優先したため、35mmF2になってしまったと見る。残念だ。
そして、価格が高すぎる。予想では25万もすると言うではないか。同時に発表されたα99が、同じ(?)35mmサイズの撮像素子を搭載していながら30万の予想価格。わずか5万円しか違わない。RX1にはレンズがついているものの、35mmF2のレンズで実売が5万円だとしたら、結構なお値段である。しかも、ボディに備え付けられるとすれば、マウントも必要ないわけだし、何よりも数が全く違う。おそらくは二桁は違うはずだ。35mmF2の単焦点交換レンズと比べたら、その100倍は生産量があるはず。量産しても安くならない部品もあるだろうけれど、安くなるものも多いはず。私は実質レンズは1万もあればと見ている。だとすれば、レンズ代を引いたボディ価格は24万近いと考えられる。これは私の推測に過ぎないが、35mmF2のこのレンズ、どう考えても5万円分のコストはかからないはず。やっぱり高すぎるのだ、全体に。
ということで、これが15万だったらよいと思うし、10万だったらおすすめできると思うのだが、25万であれば、お金があるから買っちゃえという人向きかな。
将来的には各メーカーから積極的に出してほしいと思う。レンズ固定式なら足かせがないので、出して失敗したら一発でやめても良いわけだ。新しい撮像素子、自由な撮像素子サイズが選べる。24-70mmとか、35-105mmとか、そういうレンズをつけた大型撮像素子のレンズ固定式デジカメ、各社どんどん開発してほしいなと思う。