PowerShot G15 |
さて、そろそろ苦しくなってきたぞ。というのも、NikonのP7700と同じようなコンセプトのカメラだからだ。極端に大きな差違はないので、細かく比較して揚げ足をとるようなことになってしまうのだが、あまりそれをやっていると評論にならないので、少し方向性を変えてみようかなと思う。
両社を比較したときに一番の違いはレンズかなと思う。P7700が28-200mmF2.0-4.0なのにたいし、G15は28-140mmF1.8-2.8である。明るさ的にはほぼ互角だ。望遠端がニコンの200mm相当に対してキヤノンは140mmと短い。あまりに高倍率を追求するのもいかがなものかと思っているが、28-200mmというのは昔から標準的な使用範囲と言われていたところなので、まあニコンがそのあたりをカバーしているのに対してキヤノンはちょっと見劣りするのかなと言うところはある。明るさは200mmF4と140mmF2.8なので、まあまあ互角だろう。ニコンも140mmあたりで使えばF2.8程度なのではないかと思われるからだし、キヤノンも200mmまでズームをのばしていたとすれば、F4に近くはなったと思う。おおざっぱに言って同じだ。
広角端のF1.8とF2.0。これもまあ大差はない。望遠端は明るさがシビアに響いてくるが、広角端でこの程度の違いは大差ない。F2より明るいF1.8、なんて宣伝するのかどうかわからないし、明るいことはよいことではあるが、実用的には大差ないのだ。従ってキヤノンの方が短いよねと言うところで、レンズについては結論だろう。キヤノンがなぜこの使用で出したのかは、少し不思議だ。P7100では同じ28-200mmでも明るさが一段落ちてF2.8-5.6だったので、140mmまでであっても明るさが上だから良いだろうと判断したのだろうか。まあだとしたら、ニコンが一本取ったと言うことだ。そういう判断で有ったとしたら、まあそれはそれで仕方のないことだと思うのだが、もし私がキヤノンのリーダーであったとしたならば、G15の開発に当たってはレンズの方向性を変えようという提案をしたと思う。すなわち、望遠をのばすのではなく広角を広げてニコンとの差別化を図ろうと提案である。
コンパクトデジカメは焦点距離が短いため、広角を作りにくいのではあるけれど、もっと小さい1/2.33型でも24mmなどのレンズが当たり前に出てきている。それよりは大きい1/1.7型の撮像素子のだから、24mmや22mmなど、もう少しがんばって広げることはできたと思うわけだ。特にコンデジの中では上位の機種であり、購入対象は初心者よりは上の人を狙っているはずで、上の人ほど広角のニーズが増えてくる。まあいろいろと事情はあるのだろうけれど、高級路線を進むのであれば、従来のように望遠をのばす方向性ではなく、広角を広げる方向性を打ち出していたろう、私ならば。
28mmと言うのはまあまあ自然に描写できる広角だと思うので、自然な描写をしたい時には良い焦点距離選択だと思うのだが、もうちょっと広く、と思う場合も少なくはない。出してみたらニコンも同じ方向性できていた、なんて可能性も十分あるけれど、私ならそういう発想をしたと思うし、今後の製品では24mm-100mmとか、あるいは20mm-60mmなんてのも有りだろうと思う。多少大きくなっても、高くなっても、多少であれば許される製品だし、レンズ固定式と言うことはライバル社の一眼レフユーザーであっても全員が購入対象になり得る。次期製品と言っても2年後くらいかもしれないが、どちらの方向に進むのかは楽しみだ。
さて、ここで撮影サンプルについて考えてみたい。
G15のサンプルページ
http://cweb.canon.jp/camera/dcam/lineup/powershot/g15/image-sample.html
P7700のサンプルページ
http://www.nikon-image.com/products/camera/compact/coolpix/performance/p7700/sample.htm
G15の女性の方は、18.5mmのところで撮影していてF2.8。建物の風景は7.0mmで撮影していてF2.8。どちらもズームの中間を使っていて、かつ1段程度絞って撮影しているわけだ。これは広角端や望遠端を使って、解放で撮影した場合よりも高画質を得やすい設定になっている。
それに対してP7700では、どれも広角端や望遠端を使い、絞り開放で撮影している。望遠端ではISO感度も200に増感している。キヤノンよりも不利な条件でのサンプルを掲せているわけである。
だからG15がだめだと言うことではなく、G15も十分に高画質だろうと信じているのだけれど、ニコンの方がサンプルとしてはより信頼性が高いのかなとは、思ってしまう。
少し話がずれるが、P7700の1枚目と2枚目、川岸の枯れ木と濁流の写真だが、絞り開放でもしっかりピントがきている。焦点距離はわずかに6mmなので、F2解放でも十分なのだ。後半のマクロでは背景がぼけているが、少し距離が有れば解放でもパンフォーカスになる。フイルム時代の癖なのがやたらに絞りたがる人もいるのだが、解放でもこれくらい使えるのだなと言うことは見ておいた方がよい。解放で使うと言うことはより早いシャッタースピードで失敗が防げると言うことであり、より低い感度でより高画質が得やすいと言うことでもある。むやみに絞るのは賢いことではない。
G15も悪くないと思うし、サブカメラ的に使うならEOS MやG1Xよりも適しているのではないかと思うけれど、ニコンには一本とられちゃったかな。